⇒もっと見る

⇒もっと見る

⇒もっと見る

⇒もっと見る

⇒もっと見る

⇒もっと見る



⇒もっと見る

⇒もっと見る

Vol.76 児童の列に車 2人死亡 千葉、ほか

朝日新聞 千葉総局発

記事に載らなかった「ウラ話」
「あの記事書いた」私のエピソード

児童の列に車 2人死亡 千葉
2021年6月29日付朝刊1ページ
八街の児童5人死傷事故 「飲酒運転許されない」
2021年6月30日付千葉版 朝刊19ページ
安全運転管理者が不在 八街事故容疑者の勤務先
2021年7月6日付千葉版 朝刊19ページ



八街市で6月28日午後、下校中の小学生の列にトラックが突っ込む死傷事故がありました。みなさんはどのような思いで報道をご覧になったでしょうか。心を痛める一方で、ワイドショーなどで取材の様子を目の当たりにして、メディアに対する不信感を抱いた方もいるかもしれません。4月に新卒で新聞記者になったばかりの私は、悩み戸惑いながら、事故現場近くで取材をしていました。
《千葉総局の上保晃平〈うわぼ・こうへい〉記者より》
事故の第一報に接し、千葉市内から現場へ急行しました。到着したときにはすでに規制線が張られていて、警察や消防の活動を遠目にうかがうことしかできません。ひとまず事故現場の写真を出稿し、目撃者や近隣住民を探しました。
 
発生当日、多かったのは驚きや心配の声でした。事故があった道路が通学路なのに自動車の抜け道として使われていることや、数カ月前に道路がきれいに舗装されて車がより速度を出すようになっていたことなどが分かりました。そして、捜査関係者を取材していた別の記者から、事故を起こした男が飲酒運転をしていたとみられるという情報も入りました。
 
児童のうち2人が亡くなったことを受けて翌日以降、事故現場には同級生や保護者、近隣住民らが献花に訪れるようになりました。私たち報道陣は彼らにカメラを向け、声をかけます。各社の記者やカメラマンが集まっているので、意図せずメディアスクラムのようになってしまうこともありました。「静かに手を合わせたいだけなのに」と怒りをあらわにする方もいます。私は戸惑いながらも、「仕事だから仕方がない」と自分に言い聞かせて取材を続けました。



しかし、亡くなった児童を悼み、事故に怒り、もう二度と同じようなことが繰り返されないようにと取材に応じてくれる方も多くいます。亡くなった児童の同級生の一人は思い出を振り返ったあとで、「なんで亡くなっちゃうのかな。また公園で遊ぶ約束をしてたのに……」とつぶやきました。「この悲しみを伝えなくてはならない」。新聞記者として私がやらなくてはいけないことやその意味が、実感としてわき上がってきました。

事故を起こした男の母親や、男の勤務先に取材する機会もありました。警察官でも裁判官でもない私は加害者を断罪するのではなく、「どうして事故が起きてしまったのか」「二度と繰り返さないためにはどうしたらよいのか」という視点を意識して取材しました。その結果、男の勤務先が法律で義務づけられている「安全運転管理者」を置いていなかったことも明らかになりました。
 
事故から1週間が経った日、大網白里市から献花に訪れた男性は「報道を見て、かわいそうに思って来た」と話しました。同様に報道で心を痛め、休みを利用して訪れた船橋市の男性もいました。新聞記者としてまだまだ駆け出しの私ですが、数カ月前まで一読者だったからこそ、ちょっとした違和感を大切にしようと思いました。「仕事だから仕方がない」と思考停止はせず、目的を見失わない。話を聴き、理解して、その後に人に伝えるということを積み重ねていきます。







▼おすすめ情報ランダムPICKUP▼

(12月15日掲載)パン屋 dodo
プレセンテ
(11月15日掲載)お菓子工房 バニーユ
ミルフィーユ
クルトの店